志民研究室   音楽教育学・声楽

民謡の歌唱活動前後に中学生が歌った合唱の歌声の変化
-歌手のフォルマントと整数次倍音に着目した声質の分析を通して-

Changes in the Choral Singing Voices of Junior High School Students After Singing a Japanese Folk Song: An Acoustic Analysis Focusing on Singer’s Formant and Harmonics by SHITAMI, Kazunari

【要旨】

中学校での民謡授業の際に収録した生徒の歌声について、民謡の歌唱活動前後に歌った合唱の声質の変化を分析した。音響分析の視点として「歌手のフォルマント(singer’s formant)」と整数次倍音に着目し、音声のスペクトルに表れる音の強さ(パワー)の変化を検討した。民謡《ソーラン節》を唄う前と後に歌った合唱《ふるさと》の生徒の音声を比較した結果、民謡の歌唱活動後に「歌手のフォルマント」付近の帯域のパワーが強くなった例が多く確認されるなど、張りのある声や芯の通った声などと表現される声質の方向への変化が見られた。特に、合唱の歌唱時に頭声を主に用いる女子生徒で、民謡の歌唱活動後に張りのある、芯の通ったよく響く声質の方向へ変化するという傾向が、より強く見られた。
キーワード:民謡、歌唱活動、音声、音響分析、発声

志民一成 著
『音楽表現学』Vol.14 【研究報告】
2016年5月31日受付/2016年9月6日採録決定

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